付添いのための交通費

どのような場合に賠償の対象となるか

神田弁護士

 高次脳機能障害が生じるほどの重篤な事例(傷病名:脳挫傷、びまん性軸策損傷、びまん性脳損傷、急性硬膜外血腫、急性硬膜下血腫、外傷性くも膜下出血、脳室出血等)で、家族が病院に付添い(看護)のために赴く場合、その交通費は損害として賠償の対象となりえます。

 付添い(看護)とは、人の世話をすることですから、付添いのための交通費が損害と認められるには「被害者の入通院中の世話が必要か否か」が判断基準となります。

 つまり、被害者一人では入通院が困難であるというほど重症である場合、年齢が幼い場合などに認められます。医師から付添いの指示があった場合には、付添いを要すると判断されやすくなります。

 介護福祉士などのプロによる完全介護体制が整った病院では、入院中の家族の付添いは必要ないと判断されやすいですが、意識状態がはっきりしない頃などは、家族からの呼びかけも重要になりますので、通常、損害と認められるでしょう。

賠償の範囲

 2人以上で被害者の世話をすることが必要と判断されることは少なく、付添いのための交通費が損害と認められるのは、通常は1人分です。

 また、たとえ当初は付添いが必要であったと判断されても、意識不明の状態などから回復し、その症状が改善するにつれ、もう付添いは必要ではなくなったとして損害と認められにくくなる傾向があります。

 さらに、タクシーを利用したとしても、バスや電車などの公共交通機関の利用が可能である場合には、タクシー利用を必要とする特別な理由がない限り、その公共交通機関の利用料金分の交通費しか認められません。

見舞いのための交通費

 付添いの必要はないと判断された場合でも、見舞いのための交通費として考慮されることはあります。(見舞いのための交通費について詳しくはこちらをご参照ください)

付添いのための交通費が認められた裁判例

 被害者が交通事故で脳挫傷、左上腕骨骨折等の傷害を受けた事案について判決をした東京地判平成16年12月13日です。

傷害内容

脳挫傷(脳幹挫傷含む)、左上腕骨骨折等

入院期間

55日間

通院期間

約1年2ヵ月間(実通院200日)

後遺障害内容

高次脳機能障害(記銘力障害[新しいことを覚えられない]、記憶障害、人格変化、右半身運動障害等)、眼球の運動障害、嗅覚障害、味覚障害により併合2級と認定

認められた損害

入院期間

入院から一般病棟に移るまでの17日間について、妻の付添いのための交通費(鉄道利用料金分の計7,140円)を損害と認めた

通院期間

実通院日200日について、車のガソリン・駐車場料金及び鉄道利用料金分の計21万7,095円の交通費を損害と認めた

 入院期間の交通費に関しては、入院期間55日間のうち、入院日から一般病棟に移るまでの17日間について妻の付添いの必要性を認め、鉄道利用料金分の計7,140円を損害と認めました。

 しかし、一般病棟に移って以降は、退院するまでの間、医師の指示もなく家族の付添いが必要であったとの事情は認められないとして、付添いのための交通費は損害と認められませんでした。

 通院期間の交通費に関しては、被害者本人の通院交通費として計上されていますが、約1年2ヵ月の通院期間中、症状の内容、程度等を考慮すると通院には付添人が必要となるとして、実際に通院した200日について付添人1人分の交通費(車のガソリン・駐車場料金及び鉄道料金分の計21万7,095円)も損害と認められました。

 症状の内容、程度としては、他人との意思疎通が困難であること、興奮しやすいし怒りっぽいこと、指示がないと食事をすることもできないことなどが指摘されています。

 タクシーを利用した日もありましたが、必要性が不明であるとして鉄道利用料金の限度でしか認められませんでした。

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