側頭葉の損傷と障害
側頭葉の役割
側頭葉は、記憶、聴覚、嗅覚、言語理解を司ります。
具体的障害
①流暢性失語
側頭葉の左側が損傷すると流暢性失語が生じることがあります。
流暢性失語は、話す速度は正常でリズムや抑揚に乱れはないものの、口から出る言葉が意味不明な状態を指します。
言語を理解する機能に障害を来たしているため、連想した物と似ている発音の単語を言ってしまったり、連想した物とは別の意味の単語を言ってしまったりする症状が現われます。
流暢性失語が生じた場合、簡単な単語が出てこない、本が読めない他、外部から情報を受け取って理解できるものの、それに対して適切な返事ができず会話が成立しないといった深刻なコミュニケーション能力の欠如に繋がります。
②記憶障害
側頭葉の左右内側を損傷すると記憶障害が生じることがあります。
事故前のことは良く覚えているのに新しいことが覚えられない前進性健忘や、事故による頭部外傷を起点としてそれ以前の記憶を失う逆行性健忘の両方の症状が見受けられます。
特に前者の場合、記憶を司る側頭葉が損傷するため記憶することが困難になり、日付・約束を覚えたり、新しい物事を学習するのに支障を来たすことになります。