高次脳機能障害等の交渉・裁判において、ご家族が準備しなければならないこと

高次脳機能障害の交渉・裁判でご家族が準備しなければならないこと

 高次脳機能障害などの頭部外傷を負った被害者のご家族は、被害者の方の身の周りのお世話などやらなければならないことも多いですが、「被害者の適正な賠償金の獲得」という観点からは、次のような事項に留意する必要があります。

  1. 病院への付添い日時の管理
  2. 交通費・諸費用の領収書等の保管
  3. 成年後見等の手続

病院への付添日時の管理

 被害者の入院・通院中に、家族の付添いがあった場合には、入院通院中の介護費(付添費)が賠償の対象となりえますが、相手方との交渉や裁判の際には、付添の必要性のほか、その付添の事実の有無自体が争いになることがあります。

 当事務所が解決した事案で、入通院中の介護費(付添費)が実際に問題となったものをご紹介いたします。高次脳機能障害で1級認定の被害者が裁判により1億6,000万円の補償を受けた事案をご覧ください。

 付添いの事実自体については、後々争いになった場合に証明できるものが無いと、控えめに概算されてしまうことも多々あります。

 病院の面会簿等に付添人についてもきちんと記録されていて、それを取得できる場合は良いですが、必ずしも詳細に記録されているものではありません。

 したがって、付き添った日時については、スケジュール帳等にきちんとメモしておくなど管理しておいた方が良いでしょう。

交通費・諸費用の領収書等の保管

 被害者に重篤な後遺障害が残り、要介護状態となった場合、将来の介護費用について賠償の対象となります。

 適正な介護費用を算出するためには、まず、どのような介護が必要かを診断書やカルテ等の資料を検討する他、具体的に医師やソーシャルワーカーと協議しつつ、明確にしなければなりません。

 次に、必要な介護の内容が明確になれば、その介護を行うための条件は何か(現実的にどのような介護をすることになるか)について、被害者の置かれた環境を踏まえて検討します(ご家族の仕事等とのバランスで介護時間がどれだけ確保ができるか、家族のみで可能な介護内容か、必要な設備があるか、在宅か施設のどちらが適切か、など)。

 そして、交渉・裁判の際には、今後の現実的な介護の内容に応じて介護費用の見積書をとったり、類似裁判例と比較したりすること等により賠償金額を見積もります。

 時には、それまでの介護費用や介護雑費(オムツ、シーツ代等)の領収書等の証拠書類の提出も重要となりますので、ご家族の方は、事故直後からそのような書類をとっておくことが望ましいといえます。

 上述した付添いの事実の証明のためにも、付添いに要した交通費の領収書等もとっておくことも重要であり、「事故のために必要となった費用に関する一切の書類は全て保管しておく」くらいの気持ちで良いと思います。

 また、当事務所では、車・自宅などの必要な改造費用、杖や車椅子などの購入費用等について、被害者のために必要となるものを医療機関と連携して洗い出し、その賠償の獲得についてもサポートしております。

 事故直後からご依頼があった場合には、このような必要経費の洗い出しや、その証明に必要な書類等についてもあらかじめアドバイスさせていただき、適正な賠償金の獲得まで円滑に進めるようサポートしていきます。

成年後見等の手続

 被害者の判断能力が失われた場合、著しく低下した場合には、被害者の方が裁判や示談をすることが出来ません。

 したがって、賠償金の獲得のためには、予め家庭裁判所に後見開始の手続を行い、成年後見人等を選任しておく必要があります。

 成年後見について詳しくは高次脳機能障害と福岡での成年後見の扱いをご覧ください。

 また、関連してご家族の方が注意しておくべき点として、事故後から、被害者の方には、交通事故や労働災害等の賠償金や保険給付金として、高額の金銭が入ってきますが、そのお金は被害者のためのものですので、ご家族の方が勝手に使えるものではありません。

 事故前まで被害者の方の収入で生活していたご家族等もあり、その賠償金等を「一切使うことができない」というわけではありませんが、例えば、被害者本人のための支出でないのに、あまり高額な買い物をしたりすると、後々、支出した金額を返還しなければならないこととなる可能性もあります。

 したがって、被害者の財産管理は、注意して行っておく必要があります。

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