成年後見手続

高次脳機能障害と福岡での成年後見の扱い

1.高次脳機能障害

 高次脳機能障害では、たとえば次のような症状が現れます。

  1. 記憶障害(例:もの忘れ、間違えて記憶する)
  2. 注意障害(例:2つのことを同時にできない)
  3. 遂行能力障害(例:作業が持続できない、指示がないと動けない)
  4. 社会行動能力障害(例:公衆の場であることを意識できない)
  5. 人格変化(例:些細なことですぐに怒るようになった)

 したがって、適切な賠償金を獲得するために訴訟提起をしたくても、訴訟をするために必要な意思能力がないとされて訴訟提起できない(または形式的に訴訟提起ができたとしても訴訟の内容が全く理解できない)という事態となってしまうことがありえます。

 また、損害賠償などで多額の一時金が被害者に支給されても、被害者が財産管理能力なく、浪費したり、悪徳商法に騙されたりなど、散財してしまう危険性があります

 賠償金等は、被害者の事故後の人生にとって大切な生活資金ですので、適切に管理しなければならないので、成年後見人を選任してきちんと財産管理を行う必要があります。

 交通事故や労働災害等で、被害者が高次脳機能障害や遷延性意識障害(植物状態)となってしまった場合も同様に、被害者自身が訴訟提起したり財産管理をしたりということは出来ないので、成年後見人を選任することが必要となります。

2.成年後見制度の活用

 成年後見制度とは、判断能力が低下した人の生活の代わりに財産を管理したり、契約を締結したりすることのできる制度です。

 法定後見(後見、保佐、補助)と任意後見の2種類がありますが、交通事故や労働災害等により高次脳機能障害・遷延性意識障害が残ってしまった方が利用するのは法定後見ですので、法定後見制度について説明します。

 法定後見では、本人の判断能力の程度を見て、家庭裁判所に対して後見、保佐、または補助開始の審判の申立てをします。

 裁判所の審判によって、後見人(成年後見人、保佐人、補助人)に選任された者が、本人(成年被後見人、被保佐人、被補助人)の行為に関する予めの同意権限、事後的な取消権限、代理権限などを付与されることになります。

 申立てから審判までの期間は、鑑定の必要等により異なるため一概に言えませんが、多くは1~3か月程度です。

 各権限が与えられた場合、本人が後見人の同意なく契約すれば、後見人はその契約を取り消すことができますし(厳密には、成年後見の場合、そもそも無効な契約になります)、 後見人は、本人(代理人)の名義を使って、本人のために契約を締結することができるようになります。

後見

本人の状態(判断能力の有無) 判断能力がない状態※お釣りの計算ができないなど本人の判断能力がほぼない場合
申立人 本人、家族(配偶者、4親等内の親族)など
本人以外の者が申立てする場合の本人の同意の要否 不要
予めの同意又事後的な取消しのできる行為 日用品の購入等以外の行為
代理できる行為 全ての法律行為

保佐

本人の状態(判断能力の有無) 判断能力が著しく不十分な状態※不動産などの重要財産に関する契約を1人で判断するのが困難な場合
申立人 本人、家族(配偶者、4親等内の親族)など
本人以外の者が申立てする場合の本人の同意の要否 不要
予めの同意又事後的な取消しのできる行為 不動産や自動車等の重要財産についての行為など
代理できる行為 申立て内容を見て裁判所が決定

補助

本人の状態(判断能力の有無) 判断能力が不十分な状態※不動産などの重要財産に関する契約も1人でできるが、支えが必要な場合
申立人 本人、家族(配偶者、4親等内の親族)など
本人以外の者が申立てする
場合の本人の同意の要否
必要
予めの同意又事後的な
取消しのできる行為
申立て内容を見て裁判所が決定
代理できる行為 申立て内容を見て裁判所が決定

3.申立手続

 例として、福岡家庭裁判所の手続きの流れは次のようになります。

(1)申立て準備
  1. 病院で成年後見用診断書をもらいます。
  2. 市役所等で戸籍謄本等をもらいます。
  3. 法務局で登記されていないことの証明書、不動産登記事項証明書をもらいます。
  4. 申立書、財産目録、質問票を作成します。
(2)申立て
  1. 必要書類と一緒に申立書を家庭裁判所に提出します。
(3)審理
  1. 申立人、後見人等候補者の事情聴取があります。
  2. 本人調査(本人の面接)があります。ただ、後見では本人の状況により実施されないこともあります。
  3. 必要に応じ医師鑑定等を行います。
(4)審判
  1. 後見等開始、後見人等選任の決定があります。
(5)審判確定
  1. 審判書謄本を受け取ってから2週間が経過することにより審判が確定し、正式な後見人等になります。
(6)後見登記
  1. 後見登記がされます。後見について登記事項証明書を申請できるようになるのは、審判から1ヵ月ほどしてからです。

4.手続費用

 申立手数料・登記手数料として以下の費用(収入印紙代)がかかります。

後見

申立手数料:800円

登記手数料:2,600円

保佐

申立手数料:800円
代理権付与審判や同意を要する行為を追加する審判をする場合、各審判ごとに別途800円かかります。

登記手数料:2,600円

補助

申立手数料:同意(取消)権付与審判、代理権付与審判につき各800円かかります。

登記手数料:2,600円

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