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未成年の児童が頭蓋底骨折、脳挫傷で後遺障害9級の認定を受け3,700万円の補償を受けた事案

このページでは、赤信号を無視した貨物自動車にはねられ、高次脳機能障害を負った児童の解決実績をご紹介いたします。

その他の解決実績はこちら

事故状況

 福岡市在住の児童が自転車で横断歩道を歩行中に、赤信号を無視した貨物自動車にはねられ、頭部を外傷し、福岡市内の救命センターに搬送され「頭蓋底骨折、脳挫傷」の診断を受けました。

この時点では、「脳挫傷」の画像所見、事故直後の意識障害の程度についての重要さについて、ご家族は気づいていませんでした。

事故直後

 児童には、頭部外傷後の意識障害が認められました。

 後に入手した「頭部外傷後の意識障害の所見」においても、高次脳機能障害の要件を満たしていました。

 高次脳機能障害の認定は、①画像所見、②頭部外傷後の意識障害の所見、③家族の日常生活状況報告書が重視され、②に関しては、頭部外傷後の意識障害(昏睡状態)が6時間以上継続すること、もしくは、健忘症あるいは軽度意識障害が少なくとも1週間以上続くことが必要です。

 また、児童の年齢が低かったため、入院中、母親が付き添う必要があり、母親は仕事を休んで、看護する必要がありました。

 後に、家族の付添看護費交通費(ご家族の交通費のページも併せてご覧下さい)として請求し、認められました。

治療途中

 1ヵ月入院後には、無事退院され、病院に通院しながら、通学できていました。

 ここが高次脳機能障害の注意点です。

 一見、完治したように思えてしまうことがあります。

 詳しくは被害者が子供である場合の高次脳機能障害の注意点 をご覧ください。

今回は、治療途中において、「身体は回復しているようだが、勉強ができなくなっている」、「加害者には任意保険もなく、反省もしていないようだ。どうしたらいいか」ということで相談がありました。

 当事務所は、症状について検討するため、早速、診断書等の医療記録を取り寄せました。

 「脳挫傷」の診断について、相談後の時点では、画像診断は得られませんでしたが、事故直後のMRIでは、「右前頭葉下部及び右側頭葉外側に挫傷傷」が認められました。

 万一、事故直後のMRI上、異常所見が確認できなければ(①画像所見が認められなければ)、認定は困難であったと思われます

 認定のためには、事故直後にMRIを撮っておくことが非常に重要になります。

刑事手続き

 刑事記録を取り寄せし、刑事裁判をご家族と共に傍聴しました。

 後に、赤信号無視の悪質さを慰謝料の増額事由として主張し、認められました。

 なお、交通事故における刑事手続きへの関与に関しては裁判段階での諸問題をご覧ください。

症状固定時

 年齢が若かったため、脳の損傷の程度が判明するには慎重に経過を観察した方がよいだろうと判断し、継続治療することにしました。

 未成年者の場合、社会にうまく適合できるか否かについて、事故直後では判断が付かない場合が多いので、症状固定は慎重であるべきです。

 また、脳に損傷を受けた場合には、嗅覚・味覚に異常が認められる場合があります。

 念のため、嗅覚・味覚検査を行ったのですが、今回は幸いにも異常はなく、後遺症は発生していませんでした。

 高次能機能障害の認定を受けるために、所見それに合致する日常生活上の支障の聴取に奔走しました(③日常生活報告書)。

 もっとも、児童は自己に不利な事柄をあえて隠す傾向があり、神経学的検査の際、修正を何度も試みましたが、必ずしも合致しなかった点が悔やまれます。

 後遺障害等級認定手続の諸問題の詳細に関しては後遺障害認定手続の諸問題をご覧ください。

等級認定の結果

 家族の日常生活上の記載を重視してもらい、高次能機能障害が認められ、9級10号の認定を受けました。

 認定票には、「頭部外傷後の障害については、提出の画像上、脳挫傷が認められ、頭部外傷後の意識障害の所見上、JCS100程度の意識障害が認められます。

 加えて『日常生活状況報告書』上の記載を併せ検討すれば、本件事故の脳外傷に起因する高次脳機能障害が残存しているものと捉えられます。」との記載がありました。

 認定票からも、①画像所見、②頭部外傷後の意識障害の所見、③家族の日常生活状況報告書を重視していることがうかがえます。

 後遺障害9級の認定が下りたことから、相手方保険会社との示談交渉の前に、自賠責から、616万円の填補を受けました。

 この填補により、当面の生活費を確保することができました。

示談交渉

 加害者は任意保険に加入していませんでしたが、両親が加入している保険を使えないか検討したところ、無保険者傷害保険を使用できるとのことでした。

 その結果、裁判手続き等を経ることなく、合計約3,627万円の賠償金を得ることができ、加害者に任意保険がない場合でも、任意保険がある場合(算定上は約3,700万円)に近い形で賠償金を得ることができました。

 ご家族には、裁判をすれば弁護士費用・遅延損害金が増加する旨のお話をしましたが、事故のことを早く解決したいというご家族の希望から、早期解決するに至りました。

賠償金の内訳

  • 治療費:80万220円
  • 付添看護料:22万7,500円(6,500円×35日)
  • 入院雑費:5万2,500円(1,500円×35日)
  • 通院交通費:4万500円
  • 通院付添費:4万6,200円(3,300円×14日)
  • 逸失利益:2,670万491円※486万円(男女の全年齢平均賃金)/49年間/35%
  • 慰謝料(入通院慰謝料)179万円
  • 後遺障害慰謝料:700万円(赤信号無視で増額)
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