事故被害者の介護費用・介護施設

事故被害者の介護費用・介護施設

弁護士桑原

 介護とは、食事、入浴、排せつなどの世話をすることであり、介護費用は、生涯にわたる分まで損害賠償の対象となるので高額になるケースが多いです。

 例えば、重度の後遺障害が残った10歳の子に日額1万円の介護費用が必要であると判断された場合、平均余命までの68年間の介護費用は、中間利息を控除した上で「6,861万9,000円」の損害額となります。

 このような介護費用は、将来も被害者の方が介護を受け続けるために必要な費用ですので、大変重要な損害項目です。

 「金額が低額であったため介護ができなくなる」といった悲惨な事態は避けなければなりません。

重度の後遺障害

 事故により遷延性意識障害(植物状態)や重度の認知症等の高次脳機能障害が残ってしまい、日常生活動作が一人でできなくなってしまった状態を、「要介護」状態と言います。

 後遺障害等級で言うと、「1級」・「2級」の後遺障害が残ってしまった状態です。

 1級が「常時」介護が必要な障害、2級が「随時」介護が必要な障害です。

 人的・物的設備等の観点から介護施設を利用しなければならないケースも多くあります。

 要介護状態である場合、その介護のための費用は、損害として賠償の対象となります。

3級以下の高次脳機能障害

 一方、事故によって、高次脳機能障害が残ってしまったが、食事・入浴・排せつなどの日常生活動作については一人でできるという場合があります。

 この場合、後遺障害等級で言うと「3級以下」です。

 この等級は要介護の障害ではないので、原則として介護費用は賠償されません。

 しかし、高次脳機能障害が残ってしまった被害者は、認知症や人格変化などの症状により、看視(見守り)や声かけ(指示)がなければ通常の社会生活が困難だと判断される場合があり、この場合、看視・声かけについても、介護費用として賠償の対象となりえます。

損害賠償額

 入通院期間中の分は治療費や付添費などの名目で損害と認められます。

 症状固定後の将来の分も含めた介護費用は平均余命までの分が認められるのが通常です。

 このような将来分も含めた介護費用等から、重篤の方の場合には、億単位の賠償金となる場合があり、死亡の方の場合よりも高額となることもあります。

 しかし、介護費用に関する弁護士の主張・立証次第で、賠償金に数千万単位の金額の差が出る場合があります。

 交通事故や労働災害等を取り扱う弁護士の中でも、介護費用が問題となるケースを経験したことのない弁護士もいるでしょう。

 専門の弁護士に依頼することが重要です。

症状固定後の問題一覧

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