非器質性精神障害について

高次脳機能障害の等級認定のしくみ⑨

非器質性精神障害について

 脳の器質的病変がCTやMRI等によって確認できない場合、自賠責保険(共済)の認定上は、高次脳機能障害としての認定が受けられません。

 この場合、脳の器質的損傷を伴わない精神障害として、等級認定を受ける可能性があります。

 非器質性精神障害の認定については、非器質性精神障害専門部会において認定手続きがとられ、その認定基準は以下のとおりです。

 以下のaの精神症状のうち1つ以上の精神症状を残し、かつ、bの能力に関する判断項目のうち1つ以上の能力について障害が認められること

精神症状

  1. 抑うつ状態
  2. 不安の状態
  3. 意欲低下の状態
  4. 慢性化した幻覚・妄想性の状態
  5. 記憶又は知的能力の障害
  6. その他の障害(衝動性の障害、不定愁訴など)

能力に関する判断項目

  1. 身辺日常生活
  2. 仕事・生活に積極性・関心を持つこと
  3. 通勤・勤務時間の遵守
  4. 普通に作業を持続すること
  5. 他人との意思伝達
  6. 対人関係・協調性
  7. 身辺の安全保持、危険の回避
  8. 困難・失敗への対応

 上記認定基準に従い、その障害の程度によって9~14級の認定がなされますが、自賠責保険においては、非器質性精神障害と事故との因果関係がよく問題となり、認定を受けられるというケースはそれほど多くありません。

 また、重い症状を残しているとしても将来大幅な症状の改善可能性があるため(心理的負荷を取り除き、適切な治療を受ければ完治するのが一般的と考えられています)、症状固定時期が問題となったりします。

 さらに、無事に等級の認定を受けられたとしても、賠償の場面において、本人の資質が後遺障害に寄与しているとして素因減額(賠償額を減額)されたり、あるいは、将来回復する可能性があるとして労働能力喪失期間を限定されることが多々あります。

後遺障害等級認定手続の問題

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